新しいブランドのご紹介です。
Fashionformstudioにて今シーズンより展開する、ALEXANDER YETMAN(アレクサンダー・イェットマン)。
「深く美しいネイビーカラー」
「JACKET・SHIRT・TROUSERS、3型のみのミニマルな構成」
予備知識のないブランドということもあってか、どことなくミステリアスな雰囲気を感じさせます。
ただ、詳細を紐解いてみると、その背景にはテーラリングの現場で培われた確かな技術と、デザイナー自身による確固たるものづくりがありました。
ALEXANDER YETMAN
シャツ – モールスキン
ジャケット – コーデュロイ
トラウザーズ – コーデュロイ
「ALEXANDER YETMAN」
ALEXANDER YETMANは、アイルランド北西部スライゴーにあるテーラー、Joseph Martin Tailorsでキャリアをスタートさせました。その後、テーラリングの現場でハンドフィニッシャーとして経験を積み、仕立ての技術と手仕事への理解を深めながら活動を広げていきます。2021年には自身の名を冠したレーベルをスタート。2024年には東ロンドンのチェシャー・ストリートに自身のスタジオをオープンしました。
現在、すべてのガーメントはデザイナー本人による手縫いで生産されています。
本コレクションは、デザインはもちろん、パターン構築から縫製・仕上げに至るまで、テーラリングで磨き上げた技術が余すところなく注ぎ込まれています。既製服でありながら、丁寧な時間と手仕事を惜しまない点も大きな魅力のひとつです。
2026AWコレクションでは、北欧の伝統的な漁師用作業着をベースに、当時の衣服が持つ機能や構造を独自の解釈で現代へと昇華させています。


「シャツ」
同コレクションのジャケットの下にレイヤードすることを想定して設計されたシャツです。
原型となっているのは、北欧の伝統的な漁師用インナーシャツのヴィンテージピース。フロントには、海上作業時に海水や冷気が衣服内部へ侵入するのを防ぐための、扇状のガセットを配置しています。防寒性を重視した当時のワークウェアならではのディテールです。ネック部分にはバインダー仕様を採用し、裾とカフには手まつりによる丁寧な仕上げを施しています。
ワークウェアとしての機能性を備えながら、どこか凛とした緊張感のある佇まいに仕上がっています。
■シャツに使用されている生地
「モールスキン」
英国・ヨークシャーで150年以上の歴史を誇る老舗ファブリックメーカーが手がけるモールスキンを使用。なかでもライトウェイトの生地を選んでいます。ベルベットを思わせる滑らかな肌触りと、しなやかさのなかにも感じられるモールスキン特有の密度が魅力の上質な素材です。着用を重ねるごとにエッジ部分から少しずつ色が抜け、表面に濃淡が生まれていく。時間とともに表情が移ろう変化も楽しめる生地です。


「ジャケット」
このジャケットは後付けの立ち襟ブルゾンとして構成されていますが、その原型はVネック仕様のワークウェアに由来しています。
特徴的なバックヨークには、本来は雨除けとして設けられていたフラップ状のディテールがあり、本ジャケットではそれを袋状に再構築しています。当時の意匠を継承しながら、肩周りの可動域を確保するための構造としても機能しています。
漁師が厚手のニットやシャツを重ねて着用していた背景から、ワークウェアにはアームホールを深く取った構造が多く見られます。一方でそうした構造は、現代の衣服とは異なる着用感や動きの制約も生んできました。ヴィンテージウェアの構造を丁寧に読み解きながら、独自のパターンによって現代的に再構築しています。
「トラウザーズ」
北欧の伝統的な漁師用作業着をベースに制作されたワークトラウザーズです。
フロントポケットのディテールはジャケットと共通する構造を持ち、ヴィンテージのフィッシャーパンツを参照しながら、現代的なバランスへと再構築されています。
深い股上とゆとりある腰回りに加え、ウエストにはシャーリングを採用。厚手のニットやシャツを重ねた際にも窮屈さを感じにくく、当時の着用環境を想定した機能性が随所に反映されています。
シルエットは、裾に向かってわずかに広がるゆったりとしたストレートライン。歩くたびに生地が大きく揺れ、ボリューム感のあるシルエットとともに美しいドレープを生み出します。
「コーデュロイ」
こちらも同じく老舗ファブリックメーカーの生地を使用しています。モールスキン同様、同社が展開するコーデュロイのなかでもライトウェイトの素材を採用しています。
ほどよいハリのある肌触りと、細かく設定された畝が特徴です。長く着用しても畝が倒れにくく、型崩れしにくい点もこの生地の魅力のひとつ。モールスキンと同様に、着用を重ねるごとにエッジ部分から徐々に色が抜け、畝の陰影とともに独特の表情が生まれていきます。
古い衣服の構造を丁寧に読み解き、そこに独自のパターンと手仕事を重ねていく。
声高に主張するわけではないものの、細部を見るほどにその仕事の確かさが静かに伝わってくるコレクションです。
ぜひ実際に、素材の質感や各アイテムのシルエット、そして手仕事が生み出す独特の佇まいをご体感いただければ幸いです。
Fashionformstudio スタッフ

